フラニ語学習 4 週目.しばらく進捗が滞っていたが再開する.Miɗo Waawi Pular! の Competence 6, 7 を進めた.
Competence 6: No ɓutti seeɗa?
#第 6 章では,動詞の完了・未完了による意味の違いに触れ,未完了相について扱う.
人称代名詞の対格
主格(短)とほぼ同じだが,単数の場合が異なる.
s. Obj. | |
---|---|
I | 𞤤𞤢𞤲 |
II | 𞤥𞤢 |
III | 𞤥𞤮 |
また,動詞と結合するパターンが存在する.
- 他動詞命令形 + I s. Obj.: —𞤵 𞤤𞤢𞤲 ← —𞤢𞤲
- 他動詞未来形 + II s. Obj.: —𞤢𞤴 𞤥𞤢 ← —𞤫𞤼𞤫
動詞の相
大きく完了相・未完了相の 2 つに分けられる.同じ相でも主格の形や構文によって意味が変化する.(学習途中のため表記揺れに注意.)
- 完了相
- 状態:主格(長)+状態形
- 過去叙述:主格(短)+状態形
- 過去強調:主格(短)+強調形
- 過去否定:主格(短)+否定形
- 過去焦点:主格(短)+焦点形(焦点を当てる名詞を先頭に出す)
- 未完了相
- 進行:主格(長)+進行形
- 単純・習慣:主格(短)+単純形
- 未来:主格(短)+強調形
- 未来否定:主格(短)+否定形
- 未来焦点:主格(短)+焦点形(焦点を当てる名詞を先頭に出す)
- 命令:命令形
焦点未完了形
未完了相の場合の焦点形は以下:
原形 | 焦点未完了 |
---|---|
—𞤵𞤺𞤮𞤤 | —𞤢𞤼𞤢 |
—𞤢𞤺𞤮𞤤 | —𞤮𞤼𞤮 |
—𞤫𞤺𞤮𞤤 | —𞤫𞤼𞤫 |
ただし,Sub. に II が絡むと形が変化する.
原形 | 焦点未完了 + II s. Sub |
---|---|
—𞤵𞤺𞤮𞤤 | —𞤢𞤼𞤢𞥄 |
—𞤢𞤺𞤮𞤤 | —𞤮𞤼𞤮𞤯𞤢 |
—𞤫𞤺𞤮𞤤 | —𞤫𞤼𞤫𞤯𞤢 |
語末の形は,II s. の場合は 𞤢 だが,I pl. + II の場合は 𞤫𞤲 に,II pl. の場合は 𞤮𞤲 になる.
「あなたは何と呼ばれていますか?(お名前は何ですか?)」は 𞤑𞤮 𞤸𞤮𞤲𞥆𞤮 𞤭𞤲𞥆𞤫𞤼𞤫𞤯𞤢? だが,これはまさに焦点未完了形の例.
進行形
進行形は,上述したように主格(長)を伴う.動詞の形は以下:
原形 | 進行 |
---|---|
—𞤵𞤺𞤮𞤤 | —𞤵𞤣𞤫 |
—𞤢𞤺𞤮𞤤 | —𞤢𞥄𞤣𞤫 |
—𞤫𞤺𞤮𞤤 | —𞤫𞥅𞤣𞤫 |
否定文の場合は,主格(短)にして動詞の前に 𞤢𞤤𞤢𞥄 を入れる.
教科書では原形が不定形だが,話者によっては進行形を不定形として扱う場合がある.同一人物の発話で不定形として原形と進行形とが混ざることは稀.
Competence 7: Ɗuytu seeɗa!
#第 7 章では名詞ではなく動詞を強調する方法と,動作動詞・状態動詞の違い,指示詞について扱う.
100 以上の数
100 以上の数は以下の通り.
100 | 𞥑𞥐𞥐 | 𞤼𞤫𞥅𞤥𞤫𞤣𞤫𞤪𞤫 |
200 | 𞥒𞥐𞥐 | 𞤼𞤫𞥅𞤥𞤫𞤯𞥆𞤫 𞤯𞤭𞤯𞤭 |
1,000 | 𞥑 𞥐𞥐𞥐 | 𞤱𞤵𞤤𞤵𞥅𞤪𞤫 |
2,000 | 𞥒 𞥐𞥐𞥐 | 𞤺𞤵𞤤𞤵𞥅𞤶𞤭 𞤯𞤭𞤯𞤭 |
10,000 | 𞥑𞥐 𞥐𞥐𞥐 | 𞤺𞤵𞤤𞤵𞥅𞤶𞤭 𞤧𞤢𞤨𞥆𞤮 |
1,000,000 | 𞥑 𞥐𞥐𞥐 𞥐𞥐𞥐 | 𞤣𞤵𞤦𞤵𞤲𞤫𞤪𞤫 |
2,000,000 | 𞥒 𞥐𞥐𞥐 𞥐𞥐𞥐 | 𞤣𞤵𞤦𞤵𞤲𞤫 |
1,000,000,000 | 𞥑 𞥐𞥐𞥐 𞥐𞥐𞥐 𞥐𞥐𞥐 | 𞤣𞤵𞤶𞤵𞤲𞤫𞤪𞤫 |
大きな数は 1,000 区切りで数詞が与えられている.細かい数を言う場合はそれぞれの間すべてに 𞤫 を入れて表現する.例えば,123,456 は 𞤺𞤵𞤤𞤵𞥅𞤶𞤭 𞤼𞤫𞤥𞤫𞤣𞤫𞤪𞤫 𞤫 𞤲𞤮𞥅𞤺𞤢𞤴𞤭 𞤫 𞤼𞤢𞤼𞤭 𞤫 𞤼𞤫𞤥𞤫𞤯𞥆𞤫 𞤲𞤢𞤴𞤭 𞤫 𞤷𞤢𞤨𞥆𞤢𞤲𞤯𞤫 𞤶𞤮𞤱𞤭 𞤫 𞤶𞤫𞥅𞤺𞤮𞤮 になる(はず).
動詞の強調
これまでに出てきた焦点形は,特定の名詞を倒置によって強調する言い方だった.動作対象ではなく動作そのものを強調したい場合は強調形で表現する.
原形 | 過去(強調) | 過去否定(強調) | 未来(強調) | 未来否定(強調) |
—𞤵𞤺𞤮𞤤 | —𞤭𞥅 | —𞤢𞥄𞤤𞤭 | —𞤢𞤴 | —𞤢𞤼𞤢𞥄 |
—𞤢𞤺𞤮𞤤 | —𞤭𞤳𞤫 | —𞤢𞥄𞤳𞤭 | —𞤮𞤼𞤮 | —𞤮𞤼𞤢𞥄𞤳𞤮 |
—𞤫𞤺𞤮𞤤 | —𞤢𞥄𞤥𞤢 | —𞤢𞥄𞤳𞤢 | —𞤫𞤼𞤫 | —𞤫𞤼𞤢𞥄𞤳𞤫 |
過去否定は状態否定とほぼ同じだが,—𞤵𞤺𞤮𞤤 だけ異なる.
未来形 + 𞤱𞤮𞤲𞤭 で進行形と同様の意味になる.例えば,𞤃𞤭 𞤴𞤢𞤸𞤢𞤴 𞤱𞤮𞤲𞤭 𞤳𞤢 𞤧𞤢𞥄𞤪𞤫 「私は街に向かっている」は 𞤃𞤭𞤯𞤮 𞤴𞤢𞤸𞤵𞤣𞤫 𞤳𞤢 𞤧𞤢𞥄𞤪𞤫 と同様の意味になる.
動作動詞・状態動詞
動詞は動作動詞か状態動詞かどちらか自然な方が性質として決まっており,基本的には動作動詞であれば主格(短)で強調形,状態動詞であれば主格(長)で状態形を取る.
動作動詞が状態動詞のような構文になったり,あるいはその逆になったりすることもある.前者は現在の状況としてその動作が完了したことを表し,後者はそうなりつつある過程を表す.
指示詞
Pular では定冠詞は名詞の後に付いたが,これを名詞の前に付けると「この」や「その」を意味する指示詞となる.ただし,語末が 𞤲 の場合は,直前の母音が長音化して 𞤲 が除かれた形になる(𞤯𞤢𞤲 は例外的に変化しない).
結び
#今回で,動詞の変化についてさらに体系化された.語末が固定化されていて,その部分しか変化しないので他の言語と比較しても学習は簡単な方だろう.日本語ともなんとなく似た印象を受ける.個人的には,定冠詞と名詞との順序を入れ替えると指示詞の意味になるというところに驚いた.他の言語にもこのような仕組みはあるのだろうか.
次週はついに Competence の最終章となる.